契約時からリスクヘッジを考える
仕事をスムーズに行うために
エンジニアの求人の中で受託開発をしている会社を多く見かけますが、将来性やリスクが気になってしまうという人もいることでしょう。確かに、受託開発独特の仕事の難しさはありますが、受託開発のプロジェクトで発生するリスクの多くは契約時の対応次第で減らすことができるので、きちんとリスクヘッジを考えて行動すれば、スムーズに仕事を進めることは十分可能です。では、具体的にどのようなことに注意する必要があるのでしょうか。
遅延の可能性を前提に考える
本来であれば、プロダクト納品後の検収が当初の契約通りに行われれば何の問題もありませんが、クライアント側から期限の延長をお願いされることもあります。この申し出を断るということは現実的に難しいことなので、開発側が受け入れるしかないことがほとんどです。また、クライアントとの話し合いをしっかり行って決めたはずの仕様を開発作業が動き出してから変更するよう依頼され、大幅に予定が狂ってしまうケースも少なくありません。
そこで最も問題となるのがコスト面です。開発プロジェクトが当初のスケジュールを1日でも上回れば、それだけプロジェクトに携わっているメンバーの人件費がかかります。その分を回収できないとなると大きな損失を被ってしまうので、受注側としては絶対に避けたいことです。そのような状況を回避するには、クライアント側の都合によって生じるかもしれないリスクに対して、どのような条件を付けるのかということを最初の段階で具体的に示し、しっかりと合意しておくことでかなりの予防効果が期待できます。スケジュールの遅延や計画変更によって生じる追加費用がかかるということに合意しているのとそうでないのとでは、クライアント側の意識にも違いが出てくるので、受注する側も仕事がやりやすくなるでしょう。
リスクヘッジは契約時に行う
アプリケーション開発では、動作保証環境をどこまでにするかが判断の難しいところで、存在する全ての端末での動作テストまでカバーするのは現実的には不可能です。そのため、動作保証環境をある程度限定する必要がありますが、クライアントによっては保証されている以外の端末での動作についての不安を持ってしまう場合があるので、その点について納得のいく説明を事前に行って、不安材料を取り除いておくことが重要です。また、外部機能が要因でシステムトラブルが発生する可能性があり、その対応には別途コストがかかるということなどをあらかじめ理解しておいてもらうことで、後にトラブルになることを防ぐことができます。その他にも、考えられるリスクを数え上げればキリがないほどあるかもしれませんが、後から問題が発生した際に浪費する時間と労力を考えると、契約時にできる限りのリスクヘッジを行う方が断然効率的でしょう。